独身で両親に介護が必要になってしまったら
独身生活を送っていくにおいて将来的な大きな不安要素となるのが両親の介護です。
2006年に起こった京都市伏見区の認知症の母殺害事件では、長男が親の介護が必要となったことで会社を辞めざるを得なくなり、そこから次第に地域から孤立して金銭的に困窮していったという過程が生々しく報道されました。
こうした親の介護がきっかけでそれまで比較的順調であった自分の生活が一気に変化し、苦しい生活を送らざるを得なくなるというケースはもはや他人事で済まされないレベルになっています。
現在の法律では仮に別居で生活をしていたり、それまでほとんど関わりのない生活をしてきた人であっても、親族である以上は介護が必要な人の世話をすることが義務として定められています。
高齢になってくるとどうしても体力的な問題から自力で生活をしていくことが難しくなったり、大病や認知症のような深刻な病気を発症してしまうこともあります。
そうした事態は65歳を超えたらいつ起こってもおかしくないものなので、もし独身生活が長くなり両親が高齢化してきたらあらかじめ準備をしておくということが必要です。
情報収集をしながら地域ケアの方法を探す
法律や倫理的に義務とされている親の介護ですが、だからといって京都の事件のように自分の生命をかけて全ての負担を背負い込まなくてはいけないということは決してありません。
介護をするにあたり最もよくないのが、周囲のサポートを得ずに社会的に孤立をしてしまうということです。
真面目な性格な人ほど「他人に迷惑をかけられない」といった正義感からなんとか自分でできるところまでやろうとしてしまうのですが、それは家族共倒れを招く原因になってしまいます。
独身生活を続けるときにはまず健康なうちから両親の介護に対しての意志を確認しておき、その上で何かあった場合の対処方法を決めていきます。
多くの高齢者は入院をしたり老人施設に入所したりということは好まず、できるだけ自宅で生活したいと思っています。
そこでもし体の自由がきかなくなったときに、どういったサービスを受けるかやそのためにいくらのお金が必要かということを調べていきます。
もし現在別居をしているなら高齢両親が生活をしている地元の友達や親しくしている人について調べ、できれば顔を合わせて連絡先を確認するようにしましょう。
よく通っている病院やかかりつけの医師、いつも飲んでいる薬といった情報も突然に倒れてしまった場合に非常に有効な情報になります。
最近ではエンディングノートのように万が一の時の連絡帳を作成する人も増えているので、年に一度くらいはそうした今後についての話を両親としておくようにしたいところです。